アイルランドのラグビー精神 

インナー・スポーツ・コラム 01

 

  負けたアイルランドが、きちんと列を作って、日本代表を送り出していた。

 「今日は日本が勝者にふさわしかった」。全力で戦った、満足感があふれ出ていた。

 日本が勝ったことに熱狂するのは当然だが、スポーツ・ファンなら、やはりこのアイルランドの姿勢にこそ、感動してほしかった。

 いわゆる「フェアプレー」とは違う。

 ラグビーがもともと持っているラグビー精神、あるいはノーサイド精神というもので、「悔しいけれどスポーツマンとして」無理に笑顔を造り、相手をたたえるといったものではない。

 ラグビーというのは、元来、自主的に、相互が思い切りプレーしつくして、この体験そのものをENJOYしあうスポーツだ。お互いに「勝とうとして」必死に戦うが、最大のテーマは「戦いあう」ことにあり、笛が鳴ったあとのことは、(全力を題しつくして戦いあうことに比べると)あまり重要ではない。

 今回のラグビーW杯の招致に尽力した、協会の徳増浩司さんは、わたくしと同時期にICUに在学、私はアメフト、彼は乏ラグビーチームでプレーしたが、ともに貧乏チームたっだ。しかい彼は卒業後、単身ウエールズにわたった。話題にもならなかったが、彼はそこで大きなものを得たという。「地元のチームに入れてもらってプレーした。試合は惜敗、がっくりしていたら、ロッカールームで背中をたたいてどやされた。お前もENJOYしたか?と。負けたのに、だれもが笑顔で、やりきった満足感にあふれていた。ああ、これが本場の、真のラグビー精神か、とその時わかった」。

 当時の日本では「負けの美学」などというフレーズが人気を呼んで、負けて泣く姿が青春やスポーツの象徴でもあったから、一層の衝撃だったようだ。

 徳増さんはその後茗渓学園を(選手の自由なひらめきを活かして)高校日本一に導き、その後協会の幹部として国際的にも活躍中だが、今回のW杯で、彼の知っている奥底のラグビー精神が、幅広く、奥深く、日本の一般ファンにも伝えられること祈りたい。

 

なぜなら、この精神こそ、クーベルタンが説いたオリンピック精神「参加することにいぎがある」の源流であり、スポーツマン精神の原点だからだ。そして集中能力によって本能のすべてを出し切る「インナーゲーム」(日刊スポーツ刊・拙訳)の考え方に、全く一致しているからだ。そのつながりは、また改めて。


http://www.innergame.jp/
 インナーゲーム研究会HP


http://www.sports-buddy.jp/sgoto.html 後藤新弥HP